相米慎二が残した13本の長編映画は、いずれも日本映画史に燦然と輝くマスターピースです。なかでも絶対に外せない重要作を振り返ります。
『セーラー服と機関銃』(1981年)
当時絶大な人気を誇っていた薬師丸ひろ子を主演に迎え、異例のロングショットと長回しで構築した伝説的ヒット作。クライマックスで機関銃を乱射した後の「カ・イ・カ・ン」という台詞は社会現象となりました。薬師丸ひろ子をクレーンで逆吊りにする過激なカットなど、アイドル映画のパブリックイメージを粉砕した野心作です。
『台風クラブ』(1985年)
地方都市の中学校を舞台に、接近する大型台風の夜に校舎へ閉じ込められた少年少女たちの狂気、性への目覚め、死への衝動を描いた大傑作。第1回東京国際映画祭でヤングシネマ部門大賞(グランプリ)を受賞し、国内外で「思春期映画の最高峰」として崇められています。
『お引越し』(1993年)
両親の離婚に直面した小学6年生の少女・レンコの心の葛藤と成長を描いた人間ドラマの金字塔。新人・田畑智子の剥き出しの才能を見事な演出で引き出し、京都の祭りの夜を彷徨う幻想的なシークエンスは、映画史に残る美しさと残酷さを湛えています。