本作の大きな見どころは、主演の藤原竜也と山本太郎による演技の真っ向勝負です。映画や舞台で極限状態の叫びを体現させたら右に出る者がいない藤原竜也に対し、山本太郎は「日常にいそうな俗物感とリアルな悪意」を巧みに構築して対峙しました。
映画関係者や撮影スタッフの当時の証言によると、限定ジャンケンのシーンでは、閉鎖空間の異様な熱気の中で長回しの撮影が多用されました。騙されたカイジが絶叫し、胸ぐらを掴んで詰め寄るのに対し、船井は軽薄な笑みを浮かべながら小馬鹿にした態度を崩しません。この「動の藤原」と「静の山本」のアンサンブルが、原作コミック特有のサスペンスと心理戦の緊張感を劇映画のクオリティへと昇華させました。
終盤、カイジが古畑・安藤と共に仕掛けた買い占め戦略によって逆に追い詰められた船井が、脂汗を流しながらプライドをかなぐり捨てて命乞いをするまでの感情のグラデーションは圧巻です。自業自得の敗北を喫する因果応報のプロセスにおいて、観客に強烈なカタルシスを与えた功績は、山本太郎の卓越した表現力に他なりません。