世界中の自動化ラインで稼働する小型協働ロボットや精密多関節ロボットのアームを開けると、その関節部分の多くに同社の「ハーモニックドライブ®(波動歯車装置)」が組み込まれています。なぜこれほどまでに多くのグローバルメーカーが、ハーモニック・ドライブ・システムズの製品を選び続けるのでしょうか。その最大の理由は、競合他社が容易に真似できない独自の減速構造と圧倒的な精度にあります。
一般的な歯車機構(ギヤ)では、歯と歯が噛み合う際に摩擦や摩耗を防ぐための微細な隙間(バックラッシ)が不可欠です。しかし、この隙間はナノメートル単位の制御が求められる精密機器において致命的な「位置決め誤差」や「ガタつき」の原因となります。これに対し、ハーモニックドライブ®は以下のわずか3点の基本部品で構成されています。
第一に楕円形状のカムの外周に薄肉のボールベアリングをはめ込んだ「ウェーブ・ジェネレータ」、第二に柔軟に変形する薄肉カップ状の金属弾性体外歯車「フレックススプライン」、そして第三に剛体構造の内歯車である「サーキュラスプライン」です。楕円の長軸部分で常に複数の歯が深く噛み合いながら滑らかに回転するため、原理的にバックラッシが実質ゼロという驚異的な特性を持ちます。
わずかな部品点数で超軽量・超コンパクトでありながら、高減速比(1/30〜1/320以上)と高トルク伝達を両立できるこの機構は、軽量化が死活問題となるロボットの手首や指先、半導体ウェハーを搬送するロボットアームに最適です。同社はさらに進化を続け、薄型アクチュエータ「FHA-C mini シリーズ LWタイプ」のように超扁平ACサーボモータと減速機を一体化した次世代製品を市場投入し、機器の薄型化・軽量化の極限を切り拓いています。