和田アキ子のものまねの歴史は、日本のテレビバラエティ史そのものと言っても過言ではありません。1980年代から1990年代にかけては、『ものまね王座決定戦』(フジテレビ系)をはじめとする特番を中心に、圧倒的な体格差やパワフルな声量を誇張するスタイルが主流でした。
その先駆者として歴史を築いたのが吉村明宏です。『アッコにおまかせ!』(TBS系)で長年アシスタントを務めた吉村は、大げさな直立不動の姿勢や「アッコさん!」と叫ぶリアクションで一世を風靡しました。当時のスタイルは、強烈な上下関係や芸能界の掟を可視化するダイナミックなデフォルメが特徴であり、お茶の間に「怖くて面白い大物司会者」というパブリックイメージを浸透させる原動力となりました。
2000年代以降、コロッケや神奈月、栗田貫一らが歌唱とアクションを融合させたエンターテインメントへと昇華させる中、2010年代後半に登場したMr.シャチホコによって地殻変動が起こります。従来の「歌や怒る姿の誇張」ではなく、「司会進行中の何気ないつなぎの言葉」や「独特の間」を完全トレースする手法は、ものまね界にリアリズム革命をもたらしました。