肺がんの治療費を考える上で最も重要なのは、「総医療費(10割)」と「患者が窓口で支払う実質的な自己負担額」を明確に区別することです。厚生労働省の診療報酬データや国立がん研究センターの臨床統計を総合すると、肺がんのステージや選択される標準治療(手術、放射線、薬物療法)によって総医療費は大きく変動します。
早期発見であるステージI〜IIでは手術が中心となり、入院期間も1週間〜10日前後と短期間で済むケースが一般的です。一方で、進行期(ステージIII〜IV)になると、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を長期間継続して投与する通院治療が中心となるため、年間の総医療費は跳ね上がります。以下の比較表は、年収約370万〜770万円(70歳未満・一般的な被保険者区分「ウ」)の患者をモデルケースとした肺がんのステージ別治療費の目安です。
総医療費が1,000万円を超えるような進行肺がんであっても、高額療養費制度の限度額が適用されることで、実際の年間自己負担額は一般的な会社員世帯で約60万〜70万円程度にとどまります。この客観的数値を把握しておくことが、過度なパニックを防ぐ第一歩です。