現在の男子シングル界を牽引しているのは、高難度ジャンプの概念を塗り替えた圧倒的王者、イリア・マリニンだ。前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を武器にする彼は、4回転ルッツや4回転フリップをプログラム後半に組み込むという超攻撃的な構成で世界を震撼させ続けている。国際スケート連盟(ISU)のルール改定が重なる中でも、彼の構成力は他の追随を許さないレベルに達している。
だが、単にクワッドを跳ぶだけの時代は終わった。現代のトレンドは、最高難度の4回転ジャンプを完璧な流れの中で跳び、演技構成点(PCS)でも高得点を揃える「完全無欠の演技」である。一精度でも乱れれば大暴落を招くリスクを孕みながらも、構成美と超大技を両立させることが表彰台の絶対条件となっている。