歴代の首相が残した揮毫は、その政権の性格や政治姿勢を映し出す鏡でもあります。
昭和から平成にかけて圧倒的な存在感を放った中曽根康弘元首相の「青雲大志」や「結縁」は、堂々たる骨太の筆線で国家観を表現した名筆として有名です。また、田中角栄元首相が好んだ「風林火山」や「天意夕陽多」などは、豪放磊落な性格がそのまま紙の上に炸裂したような、極めてエネルギーに満ちた筆跡でした。
一方で、小泉純一郎元首相の書は、無駄を削ぎ落とした鋭い筆遣いが特徴的で、「変革」を掲げた構造改革路線のスピード感と合致していました。筆跡心理学の観点からも、筆圧の強さや文字の払い・ハネの大きさは、政治的決断力や自己主張の強さと密接に相関していると分析されています。