ヴォーヌ・ロマネ村の中央に位置するあの小さな畑。土壌の表層は薄く、下層の石灰岩がブドウに比類なきミネラルと複雑味を与える。しかし、近年のフランスを襲う異常気象は、この聖域にも容赦なく影を落としている。
春先の突発的な霜害、夏場の猛暑と局地的な雹(ひょう)。2026年代半ばにかけて激化した気候の乱高下は、ただでさえ年間約4,000本から6,000本程度しか生産されない希少な果実をさらに絞り込ませた。気温の上昇に伴いブドウの糖度が急上昇し、アルコール度数のコントロールや繊細な酸の維持は、かつてない技術的難題となっている。伝統を守り抜く醸造チームは、日差しを遮る葉の残し方から剪定の時期に至るまで、数ミリ単位の微修正を連日余儀なくされている。