経済規模や地理的条件が近い日本と韓国の間で、なぜガソリン小売価格にこのような差が生じるのでしょうか。韓国のエネルギー経済を取材する専門記者や関係省庁の公開資料から見えてくるのは、複合的な「3つの構造的要因」です。
第一の要因は、政府による「油類税(燃料税)減税措置」の段階的縮小と正常化です。韓国政府(企画財政部)は、世界的な原油高に伴うインフレ対策として2026年秋から最大37%の油類税引き下げ措置を実施してきました。しかし、国家財政健全化と税収不足への対応から、2026年以降段階的に減税率が縮小(引き上げ)され、2026年に向けて本来の税率へと回帰しています。この減税縮小分がダイレクトに店頭価格へ転嫁されたことが、近年の価格押し上げ要因となっています。
第二の要因は、完全な原油輸入依存と為替(ウォン安)直撃リスクです。韓国は原油を100%海外からの輸入に依存しており、中東からの調達比率が7割を超えます。国際原油相場がドル建てで決済されるため、米ドルに対するウォン安が進行すると、国際市場の原油価格が横ばいであっても、国内精製業者の調達コストは跳ね上がります。日本の円安と同様の構図ですが、韓国は経済全体の貿易依存度が高いため、為替変動がより即座に国内のエネルギー小売価格へ波及します。
第三の要因は、国内の流通コスト格差と精製マージンです。韓国国内には大手精製4社(SKイノベーション、GSカルテックス、S-OIL、HD現代オイルバンク)が存在し、輸出産業としての石油精製力は極めて高いものの、国内給油所の立地コスト(特にソウル首都圏の地価高騰)や人件費の上昇が小売マージンに上乗せされている現状があります。