「なぜあの本命選手が敗れ、ノーマークの選手が突き抜けたのか」。レースダイジェスト映像や公式の競輪決まり手分析を丹念に追うと、数字の着順表だけでは決して見えてこない勝負の綾が克明に記録されています。
報道各社の取材や元選手による解説でも度々指摘される通り、勝敗を分けた最大の分水嶺は「打鐘(ジャン)前後の位置取りと仕掛けのタイミング」にあります。本日大波乱となったレースの現場観察においても、残り1周半の攻防でインに封じ込められた本命ラインが外並走を強いられ、余分な体力消耗を強いられたシーンが確認されました。競輪における横の動き(ブロックや牽制)は風圧抵抗を劇的に増大させるため、コンマ数秒の判断の遅れが最終直線の失速に直結します。
SNSやファンコミュニティでは「不可解な凡走」と騒がれるケースであっても、競輪ダイジェスト映像をスロー再生で確認すると、先頭誘導員が退避した直後の牽制球でコースを塞がれていたことや、前の煽り(あおり)を受けて車輪を外へ振らざるを得なかった事実が明白になります。決まり手が「差し」や「捲り」と記録されていても、その裏にはライン先頭の自己犠牲的な先行逃げ粘りや、番手選手の絶妙な仕事が存在しているのです。