横浜開港資料館を訪れた際、誰もが目を奪われるのが中庭にそびえる「たまくすの木(タブノキ)」です。この巨木はペリー来航時の絵図にも明確に描かれており、樹齢数百年を数える生きた歴史証拠にほかなりません。
たまくすの木は、1923年の関東大震災で猛火を浴びて幹が焼け落ちながらも、奇跡的に残った根から再び新芽を吹き返し、見事な再生を果たしました。さらに1945年の横浜大空襲の戦火もくぐり抜けており、街の壊滅と復興を静かに見守り続けてきた「不屈のシンボル」として市民に深く愛されています。
そのたまくすの木を抱くように立つ旧館は、1931年(昭和6年)に英国工務省の設計によって建てられた旧英国総領事館の建築です。横浜市指定有形文化財に登録されているこの建物は、クラシックな装飾と合理的な英国式オフィス建築が調和した秀作であり、重厚なポーチや鉄の飾り格子、暖炉の残る部屋など、当時の外交空間の格式を色濃く残しています。