暴力団を取り巻く経済環境は、暴対法・暴排条例の影響によって劇的な変容を遂げました。かつて組織の屋台骨であった公共事業への介入、みかじめ料の徴収、不動産・金融取引からの利権収奪は、徹底した契約排除条項によって完全に遮断されています。
関係者の手記や元組員の証言によると、現場の末端構成員が直面している困窮ぶりは深刻を極めます。「毎月の上納金(会費)を支払うために、親族から借金を重ねる組員も珍しくない」「事務所の電気代や携帯料金すら滞納するケースがある」といった告白は、もはや特別な例外ではありません。
そうした中で問題視されているのが、ヤクザの資金源の実態における「不透明化」と「外注化」です。自ら表に出るリスクを避けた暴力団組織が、SNSで募集される「闇バイト」や特殊詐欺グループ、違法オンラインカジノなどの背後に回り、ノウハウの提供やトラブル処理を請け負う形で収益を吸い上げる構造が顕在化しています。
警察庁が「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」の摘発を最重要課題に掲げる理由はここにあります。暴力団がトクリュウの上位層や資金洗浄(マネーロンダリング)のインフラとして機能している実態が捜査によって明らかになっており、従来の「組事務所を構えた伝統的ヤクザ」から「姿の見えないサイバー・金融ネットワーク」への移行が進んでいます。