本作の緊迫感を支えたのは、伊藤英明の怪演だけではありません。脇を固めるドラマ『夜叉』のキャスト陣には、2000年代初頭の日本ドラマ界を象徴する実力派と人気俳優が集結していました。
中でも特筆すべきは、伊藤英明と柏原崇の共演です。柏原崇が演じたのは、静の幼馴染であり無二の親友である田宮トオル。沖縄の小浜島で静と共に育ち、静の特殊な能力や宿命を知りながらも一人の人間として深く愛し支え続けるトオルは、物語において人間的な温もりを繋ぎ止める重要なアンカー(錨)の役割を果たしました。静とトオルが交わす魂の対話は、冷酷なバイオテクノロジーの陰謀劇の中で切ない救いとして描かれ、多くのファンの胸を打ちました。
さらに、静を影から守護する元傭兵のケン・クロサキ役には阿部寛が起用され、寡黙でありながら圧倒的な武術と頼もしさを持つ男を好演。静の母・有末比佐子役の大塚寧々、凛の背後に潜む巨大製薬会社の黒幕を演じた岩城滉一、吹越満や谷原章介といった多彩な顔ぶれが、作品に重厚な陰影とサスペンスとしての説得力を与えました。
そして、作品のオープニングを彩った主題歌「デザート・ローズ」(スティング feat. シェブ・マミ)の存在も忘れてはなりません。哀愁を帯びたアラビックなボーカルと洗練されたUKロックの響きが、物語の持つ退廃的かつ無国籍な空気感と完璧に合致し、世紀末のダークな映像美を鮮明に印象付けました。