空を遮っていた巨大な構造体を地下へと移転させる「日本橋首都高地下化事業」は、日本の都市整備史においても極めて異例かつ野心的な取り組みだ。橋の真上を走る高架橋を撤去し、約1.8キロメートルにわたる区間を地下トンネルへ切り替える工事は、着実にその工程を進めている。現場では夜間を中心に精密な撤去作業が続き、かつて日本橋川に落ちていた暗い影が、少しずつ薄らぎ始めているのを目撃できる。
この場所は、かつて徳川家康が江戸の都市計画を策定した際、全国へと通じる五街道の起点として定めた由緒ある地である。陸路と水路が交差する交通の要所として栄えた歴史は、街の骨格そのものに深く刻まれてきた。都市再開発の進行に伴い、歴史的建造物の保存と水辺の再生が同時に推し進められることで、かつて江戸の庶民が親しんだ水都の情景が、最新の防災・交通テクノロジーとともに現代に蘇ろうとしている。