インターネット上の相談掲示板やSNSでは、「国選弁護人はやる気がない」「示談交渉を積極的に進めてくれない」といった声が散見されます。こうした評判が生まれる背景には、国選弁護制度特有の構造的な要因が存在します。
まず挙げられるのが、国から支給される報酬額の低さです。私選弁護人を依頼した場合、着手金や成功報酬を含めて数十万〜数百万円規模の費用が発生するのが一般的ですが、国選弁護人の基本報酬は1件あたり十数万円程度に留まるケースが大半を占めます。どれほど時間をかけて接見に通い、被害者との示談交渉に奔走しても、私選弁護と同等の対価が得られるわけではありません。
さらに、担当弁護士の得意分野におけるミスマッチも影響しています。国選弁護人は各地の弁護士会に所属する登録名簿から機械的に割り振られるため、普段は企業法務や離婚問題などの民事事件を主軸に扱っており、刑事事件の経験が乏しい弁護士が担当になる可能性もゼロではありません。
ただし、「国選だから全員やる気がない」と決めつけるのは誤りです。人権擁護への強い使命感を持ち、無罪主張や刑の減軽に向けて徹底的な証拠収集を行う熱心な弁護士も数多く存在します。国選弁護人の質は制度そのものというより、「どの弁護士が担当に割り当てられるか」という個別の巡り合わせに委ねられているのが実情です。