大学受験に失敗した経験を持つさかなクンですが、その類まれな知識と現場での観察眼は、やがて学術界のトップにも認められることになります。
2006年、魚類に関する豊富な知見と啓発活動の実績が評価され、かつて憧れた東京水産大学が統合された東京海洋大学の客員准教授に異例の抜擢を受けました。大学の正規学部を卒業していない人物が国立大学の教壇に立つことは極めて異例のケースです。
さらに2015年には、海洋文化の普及や魚類研究への多大な貢献が認められ、東京海洋大学から名誉博士の称号を授与されるとともに、客員教授へ昇格しました。
学術界における彼の最大の功績といえば、前述の「クニマス再発見」です。京都大学の中坊徹次名誉教授からイラスト執筆のためにヒメマスの標本手配を依頼されたさかなクンは、山梨県の西湖から取り寄せた魚の特徴に違和感を覚えます。「これはヒメマスではなく、秋田県の田沢湖で絶滅したはずのクニマスではないか」と直感し、研究チームによるDNA鑑定の結果、70年ぶりにクニマスの現存が学術的に証明されました。学歴の枠組みを超え、徹底した観察力と現場感覚が歴史的発見を導いた瞬間でした。