『無自覚アプリオリ』の凄みは、3人の歌い分けと緻密なパート割りにも宿っています。ソロパートの受け渡しからサビのユニゾンに至るまで、メンバーの心理状態やパワーバランスが見事に設計されています。
重厚で感情を叩きつけるような斑鳩ルカの低音とシャウト気味のボーカルに対し、鈴木羽那のパートはどこか軽やかで、無邪気ゆえの残酷さを漂わせる透明感を放ちます。そこへ、不安定ながらも必死に自己を探そうとする郁田はるきの繊細な声が割り込むことで、楽曲に多重のレイヤーが生まれます。
歌詞の全文を追うと、3人が同じフレーズを歌っていても、それぞれが全く異なる意味合いを背負っていることが分かります。調和を目指すのではなく、個々のエゴや痛みが激しく衝突し合うパート構成こそが、コメティックという特異なユニットのアイデンティティを証明しています。