なぜ大相撲において不正の温床が温存されてきたのか。その背景には、十両と幕下を分ける冷酷な格差構造がある。関取になれば月給百数十万円と付け人が与えられるが、幕下に落ちれば無給同然の生活に戻る。この天国と地獄の落差こそが、力士たちを「勝ち越し(8勝7敗)」への異常な執着へと駆り立てる原動力となってきた。
徹底した調査報道が浮き彫りにするのは、個々の力士のモラル欠如だけではない。部屋制度による排他的な人間関係、師匠と弟子の絶対的な主従関係、そして外部の監査を拒み続けてきた閉鎖性だ。これらが一体となり、不正を自己浄化できない負のサイクルを形成してきた。