歴代内閣の記念撮影の歴史を紐解くと、旧首相官邸時代から現官邸に至るまで、数々の政治的ドラマや思わぬハプニングが記録されてきました。
旧官邸(現在の首相公邸)時代は、階段の幅が現在よりも狭く、閣僚たちがぎっしりと肩を寄せ合うようにして撮影されていました。昭和から平成初期の組閣写真を見ると、階段の勾配が急であったため、上段の大臣の顔がより強調される独特の迫力がありました。
2002年に完成した現官邸に移ってからは、ガラス張りの吹き抜け構造と広大な大階段が舞台となったことで、閣僚一人ひとりの立ち居振る舞いや衣服の着こなしが極めて鮮明に記録されるようになりました。大手新聞社や通信社の政治部カメラマンの間では、以下のような現場のリアルが語り継がれています。
「組閣当日の官邸内は、認証式を終えて皇居から戻った閣僚たちの移動で分刻みの過密スケジュールとなります。大階段に整列するわずか数分の間に、ネクタイの曲がりやモーニングのベストの乱れがないか、秘書官や広報スタッフが必死に確認します。一瞬の表情の強張りや立ち位置の迷いが、翌朝の朝刊一面で『結束力』あるいは『不協和音』として分析されてしまうため、現場の空気感は極度の緊張に包まれます。」(大手全国紙・官邸キャップ経験者の証言)
近年でも、モーニングコートの着崩れやお腹周りのシャツの露出がSNS上で拡散され、後に官邸公式ホームページの写真加工疑惑にまで発展した事例がありました。このように、大階段の一枚は単なる記録写真にとどまらず、政権の規律や細部への配慮を計るリトマス試験紙として機能しています。