山口鉄也のプロ生活は、決して華やかなものではなかった。2005年の育成選手ドラフト新規入団選手発表で、彼の名前はひっそりと読み上げられた。背番号は「102」。当時の育成制度はまだ始まったばかりで、そこから支配下登録を勝ち取り、ましてや一軍の主力になるなど、誰も想像していなかった時代である。
しかし、彼は走った。投げ抜いた。泥にまみれながら掴み取った支配下切符から、わずか数年で球界を代表するセットアッパーへと急成長を遂げた。この「持たざる者」としての原体験こそが、現在の指導者・山口鉄也のバックボーンになっている。エリート街道を歩んできた選手には見えない、泥臭い努力の価値を誰よりも知っているからだ。