ロケットランチャーのカタログスペックに記載されている最大射程は700〜1,000メートルに達することもありますが、実戦における実効射程は静止目標で約300メートル、動く戦車に対しては150〜200メートル以下まで低下します。
無誘導ロケット弾は弾速が比較的遅く(秒速200〜300m程度)、風の影響を極めて強く受けます。特に横風を受けると、ロケット後部の安定翼が風下に流され、弾頭が風上を向いて曲がってしまう「風上偏流」という特有の弾道特性を持ちます。
戦車の強力な反撃を警戒しながら、時速数十キロで移動する鉄の塊に肉薄して200メートル以内で照準を合わせる作業は、射手にとって極限の心理的プレッシャーを伴います。ロケットランチャーは「撃てば必ず当たる魔法の杖」ではなく、射手の技量と胆力に依存するシビアな近接奇襲兵器なのです。