一世を風靡したゴンドラ演出は、なぜ急速に姿を消してしまったのでしょうか。ブライダル市場の価値観の変化と物理的な事情から、3つの決定的な理由が見えてきます。
第一の理由は、結婚式に対する価値観のパラダイムシフトです。1990年代半ばのバブル崩壊以降、派手婚から一転して「地味婚」や「アットホーム婚」が定着しました。「ゲストに見せつける結婚式」から「ゲストに感謝を伝える結婚式」へと意識が変化し、高砂席とゲスト席の距離を縮めるゲストハウスウエディングやナチュラルテイストが主流となったことで、遠く高い場所から見下ろすゴンドラ演出は敬遠されるようになりました。
第二の理由は、「見ている側が気恥ずかしい」という評判の定着です。過度な自己主張を良しとしない慎み深さやリアリズムを重視する世代が増えるにつれ、「本物のアイドル気取りに見えて痛々しい」「新郎新婦の表情が見えにくく感情移入しづらい」というシビアな本音が広まりました。
第三の理由は、式場の維持管理コストとリニューアルです。天井に吊るす大がかりな昇降装置は、定期的な法定点検や安全管理に多額のコストがかかります。建物の老朽化に伴うリニューアル時に装置そのものを撤去し、開放的な吹き抜けやプロジェクションマッピングなどの最新デジタル設備へ置き換える会場が相次ぎました。