現代の現場ではどのような使い分けがなされているのか。熟練の彫師(タトゥーアーティスト)や、衛生管理基準の啓蒙を続ける日本タトゥーイスト協会に所属するプロフェッショナルたちの間では、施術部位やライフスタイルに応じた明確なプロトコルが存在する。
フィルムケアが主流となった一方で、昔ながらの白色ワセリンを用いた保湿管理も依然として重要な役割を担っている。フィルムによるかぶれを起こしやすい体質のクライアントや、関節部のようにフィルムが頻繁に剥がれやすい部位には、フィルムを早期に剥がした後の保護膜として白色ワセリンが処方される。
ただし、ワセリンの厚塗りは厳禁だ。過剰な油分は皮膚の呼吸を妨げ、毛穴を詰まらせて毛嚢炎(毛包炎)を誘発する。フィルムを数日間貼布して初期の浸出液を閉じ込めた後、ごく薄くワセリンや専用アフターケアクリームを塗り広げるハイブリッドな手法が、現在のスタジオワークにおける王道となっている。