ハナコの母としての覚悟が最も鮮烈に描かれたのが、2000年公開の『劇場版ポケットモンスター 結晶の塔の帝王 ENTEI』である。幻のポケモン・アンノーンが生み出した結晶の塔へ囚われ、孤独な少女ミーの「母親」としての役割を強いられるという過酷なプロットだ。
洗脳に近い極限状態に置かれながらも、ハナコはサトシの声によって瞬時に我を取り戻し、自分を閉じ込めた幼いミーに対しても決して憎悪を向けず、包み込むような抱擁で救済へと導いた。OLMのダイナミックな映像演出とともに描かれたこのエピソードは、単なる守られるヒロインではなく、他者の痛みをも包摂する母性の強さを証明し、今なお劇場版シリーズ屈指の名作として語り継がれている。