この問題に警鐘を鳴らすのが、最新の睡眠医学だ。スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所の所長を務める西野精治教授の研究によれば、人間がスムーズに入眠するためには「深部体温の低下」と「脳のスイッチオフ」が不可欠であるという。
肉体が疲れていなくても、脳が過度な情報処理によって熱を帯びていると、体温調節機能が正常に働かない。結果として、身体的にはエネルギーが余っているように見えても、脳細胞は極度のオーバーヒート状態に陥っている。つまり、「疲れていない」のではなく「脳が疲れすぎて正常な睡眠信号を出せなくなっている」というパラドックスが発生しているのだ。