日本の花柳界で少女が処女を失い一人前のお披露目をする儀式を「水揚げ」と呼びますが、朝鮮王朝の妓生文化においてこれに直接該当するのが「머리얹기(モリオンギ=髪上げ)」または「起頭(キドゥ)」と呼ばれる儀礼です。
当時の未婚女性は髪を1本の三つ編みにして垂らす「テンギモリ」を結っていましたが、モリオンギの儀式によって髪を頭の上に巻き上げる既婚女性の髪型「チョクチンモリ」へと結い直しました。これは、特定の有力者(パトロン)を夫に見立てて処女を捧げ、社会的に「大人の女性・一人前の妓生」として公認されることを意味していました。
水揚げの夜には、豪勢な宴席が設けられ、パトロンとなった男性は高価な絹織物や銀・翡翠の簪(ピニョ)を少女に贈呈します。儀式を終えた妓生は、髪型だけでなく衣装も大人の礼装を身につけることが許され、プロの芸妓として夜の座敷に出入りする権利を得ました。
単なる性的関係の開始にとどまらず、社会的な身分契約と成人の儀式を兼ね備えていた点が、キーセンの水揚げが持つ本質的な真相です。