月面で最も有名な場所を尋ねられたら、多くの人が「静かの海(Mare Tranquillitatis)」を挙げるだろう。1969年7月20日、人類として初めて月面に降り立ったニール・アームストロング船長とバズ・オルドリン隊員を乗せたアポロ11号の着陸船「イーグル」が舞い降りたのが、まさにこのエリアだった。
「こちら静かの基地。イーグルは着陸した」という無電が地球に届いた瞬間、人類の歴史は一変した。アームストロングが発した「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ」という名言は、映画『ファースト・マン』でも印象的に描かれており、今日でも世界中の人々の記憶に深く刻まれている。この「静かの海」という名称は、かつて水が存在すると信じられていた時代の名残であり、ラテン語の表記がそのまま現代まで受け継がれた典型例である。