日本を代表する詩人たちは、日本語の音と意味を自在に操る達人です。彼らの手にかかると、日常の言葉がたちまち愉快なアトラクションへと変貌します。
言葉遊びの金字塔を打ち立てたのが谷川俊太郎です。『かっぱ』における「かっぱかっぱらった かっぱらっぱかっぱらった」という早口言葉のような畳み掛けや、『いるか』の「いるか いるか いないか いるか」など、意味よりも「音の響きとグルーヴ」を優先させたナンセンス詩は、声に出すだけで誰もが笑顔になります。理屈抜きの楽しさがそこには詰まっています。
一方、工藤直子の代表作『のはらうた』シリーズは、昆虫や植物が詩人になって自分の思いを語るというユニークな設定が光ります。なかでも有名な「かまきりりゅうじ」の『おう なつのひだぜ』は、「おれは つよいぜ」「かっこいいぜ」と胸を張るカマキリのやんちゃな男気が全面に出ており、多くの子どもたちに愛唱されています。
そして、童謡『ぞうさん』の作詞者としても知られるまど・みちおのユーモア詩は、視点をガラリと変える鮮やかさが際立ちます。『いわずにおれない』などに見られるように、当たり前すぎて誰も気に留めない存在にスポットを当て、クスッと笑わせながらハッとさせる技法は、まさに言葉の魔術師と呼ぶにふさわしい境地です。