発端となったのは、全仏オープンテニス女子ダブルス3回戦。加藤未唯・アルディラ・スーチャディ組と、マリエ・ブズコバ・サラ・ソリベストルモ組の対戦でした。第2セットの第5ゲーム途中、ポイント間に加藤選手が相手コート後方にいたボールパーソンへボールを渡そうとバックハンドで返球した際、その打球がボールガールの首筋付近へダイレクトに直撃しました。
故意の強打ではなく、相手コートのボールパーソンへ球を送るための緩やかな山なりボールでした。しかし、ボールガールは別の方向を見ており、完全な不意打ちの形で被弾。その衝撃と驚きから少女はその場にうずくまり、大粒の涙を流し始めました。
コート上で発生した一連の経緯を時系列で整理すると、審判団の対応が二転三転した不自然さが浮き彫りになります。
【判定経緯のタイムライン】
1. ボール直撃と加藤選手の謝罪:直撃直後、加藤選手はすぐに少女のもとへ駆け寄り、直接謝罪の言葉をかけました。
2. 主審の初期判断:主審を務めていたアレクサンドル・ジュジュ氏は、ボールの軌道やシチュエーションから故意ではないと確認し、コードバイオレーションによる「警告(Warning)」を宣告。
3. 相手ペアの猛抗議:これに対し、対戦相手のマリエ・ブズコバ選手とサラ・ソリベストルモ選手が審判席へ歩み寄り、「彼女は泣いている」「血は出ていないけれど失格にすべき」「わざとやったのよ」と主審へ強硬に抗議を展開。
4. スーパーバイザーの介入と判定変更:スーパーバイザー(大会責任者)のウェイン・マキュエン氏とレフェリーのレミー・アザマール氏がコート入り。泣きじゃくる少女の様子を確認した後、「ボールが直撃した結果としてボールガールがショックを受け、試合進行不能な状態(負傷扱い)に陥った」と判断し、初期の警告を取り消して「失格(Default)」を言い渡しました。
加藤選手とそのペアのスーチャディ選手は涙ながらに抗議しましたが判定は覆らず、賞金約360万円の剥奪とランキングポイント全没収という異例の重罰が科される事態となりました。