ラーメンのスープにおいて、原材料の約9割を占めるのは「水」だ。富士市のラーメンが他地域と決定的に異なる最大の理由が、まさにここにある。何十年もの歳月をかけて富士山の溶岩層で磨かれた天然の伏流水は、極めてまろやかで不純物が少ない。この水が、豚骨の臭みを抑えつつ旨味だけを抽出することを可能にしている。
ある老舗の店主は「東京で同じレシピで作っても、この味には絶対にならない」と断言する。雑味のない水がカエシ(タレ)の風味を極限まで引き立てるため、一口啜った瞬間にスープの輪郭が鮮明に立ち上がるのだ。スープを飲み干した後に喉が乾かないという驚きの声が多いのも、この上質な水のおかげと言えるだろう。