東京タワーの鉄骨の一部に、朝鮮戦争で使われた戦車の廃材が使われているという事実は、現代ではどこか遠い神話のように語られる。だが、資材不足の中で立ち上がった鳶職人たちの血と汗は、紛れもない現実だった。極限の高所で命綱一本に身を預け、わずか1年半という驚異的なスピードで組み上げられた333メートルの塔。そこには敗戦からの復興を世界へ示そうとした、当時の日本人の剥き出しの熱量が宿っている。
幾多の台風や大地震、そして時代の荒波を耐え抜いてきた強靭な骨組み。その赤と白のツートンカラーは、航空法上の要請であると同時に、東京というメガロポリスの孤独と情熱を象徴するキャンバスとなった。足元から見上げる圧倒的な幾何学模様は、幾世代もの夢や挫折を包み込みながら、静かに街を見守り続けている。