山梨県南アルプス市の標高高き山中に鎮座する高尾穂見神社は、五穀豊穣と商売繁盛を司る倉稲魂命を主祭神として祀っている。戦国時代の英雄である武田信玄もこの地を篤く信仰し、重要な合戦の前に戦勝と領内の繁栄を祈願したと伝えられる。社殿に彫られた見事な装飾や周囲を囲む古木からは、幾星霜を経た重厚な歴史の重みが直接伝わってくる。
ここは単なる観光名所ではない。かつて秋季例大祭の夜には、商人が全国から山道を登り詰め、商売の資金として御神銭をお借りする独特の「資本貸付」の神事が行われてきた。歴史の深層を知ることで、境内に漂う緊張感はより一層特別なものとして胸に迫る。