近年のキッチンで主流となっている多機能オーブンレンジですが、利用者の実態調査やコミュニティの声を検証すると、設計上の特性に起因するいくつかの「使いにくさ」が浮き彫りになります。
オーブンレンジ機能比較において最も頻出する不満は、「オーブンレンジのグリル機能を使っても、魚焼きグリルのような香ばしさが出にくい」という点です。ビルトインのガスコンロに付属する魚焼きグリルは直火で350℃以上の環境を作れるのに対し、一般的な電子オーブンレンジの上面ヒーターは距離があり、出力も1300W前後に制限されているため、どうしても加熱スピードが緩やかになります。
大手家電メーカーの開発担当者による技術解説資料などでも言及されている通り、オーブンレンジで魚や肉の焼き目をしっかりつけたい場合は、熱伝導率の高い専用角皿(グリル皿)を併用し、下からの伝導熱と上からのヒーター照射を挟み撃ちにする工夫が前提となっています。
また、家庭内調理における行動様式の観点では「予熱待ちのストレス」が調理放棄につながるケースが目立ちます。仕事終わりの平日の夕食作りにおいて、200℃到達までに12分かかるオーブン機能を立ち上げるハードルは高く、結果として「オーブン機能は年に数回のイベント時にしか使わない」という宝の持ち腐れ状態に陥りがちです。この心理的摩擦を回避するためにも、平日は即座に立ち上がるグリルモードやフライパンを使い、休日の作り置きやもてなし料理にオーブンを充てるという生活リズムに合わせた住み分けが定着しています。