寺島しのぶが20代から30代前半にかけて経験した恋愛は、常にマスメディアの注目の的であり、時に苛烈なバッシングを伴うものでした。特に歌舞伎界のスターたちとの熱愛や破局報道は、ワイドショーや女性週刊誌で連日センセーショナルに報じられました。
自著『しのぶの心情』などでも赤裸々に綴られている通り、彼女の恋愛は常に純粋でありながら、名門同士のしがらみや家同士の思惑に翻弄される過酷な運命を辿りました。信じていたパートナーとの別離や公の場での厳しい追及に晒され、心身ともに深い傷を負った時期もありました。
しかし、彼女はその傷心を「被害者」の立場に留めて腐らせることはありませんでした。恋愛における挫折や絶望をすべて自身の内面で発酵させ、役者としての底知れぬ狂気や切なさ、人間の業を表現するための血肉へと変えていったのです。プライベートの痛みを芸の肥やしへと昇華させる強靭なメンタリティは、まさに表現者としての覚悟そのものでした。