三田寛子の半生を語る上で欠かせないのが、夫である八代目 中村芝翫との歩みと、3人の男児の育児だ。長男の橋之助、次男の福之助、三男の歌之助はいずれも若手歌舞伎役者として頭角を現し、伝統芸能の未来を担う存在へと成長を遂げた。
男ばかりの家庭で、稽古に励む息子たちの健康管理と精神的支柱を務める日々は、並大抵の努力では務まらない。歌舞伎の稽古は厳しく、舞台上の怪我やプレッシャーも日常茶飯事だ。そんな男たちを家庭内で笑顔で包み込み、時には厳しいアドバイスを送る姿は、成駒屋の精神的な大黒柱そのものと言えるだろう。夫である八代目 中村芝翫の芸の深化を支えつつ、次世代への引き継ぎを確実に行う手腕は、周囲の歌舞伎関係者からも深く尊敬されている。