漫画家・矢吹健太朗の手によって紙上に描かれた線画は、まさに工芸品レベルの精密さを誇っていた。ストーリー構成を担当した長谷見沙貴の巧みなシナリオを受け止めつつ、圧倒的な画力で紙面に命を吹き込む。集英社から刊行されたコミックスの誌面を開けば、白黒のインクだけでこれほどまでに艶やかな質感や柔らかさを表現できるのかと、誰もが息をのんだ。
SFラブコメディというジャンルの枠組みを借りながらも、彼が到達した描写の深みは尋常ではない。線の太さ、強弱、影の密度に至るまで計算し尽くされていた。卓越したデッサン力と独自の美的感覚が融合した結果、コミック表現におけるひとつの最高峰が完成したのである。