インターネット上の掲示板やSNSでは、時折「ZOOは『Choo Choo TRAIN』だけの一発屋だったのではないか」という誤った言説が見受けられます。しかし、これは音楽史の事実を著しく歪めた俗説です。
前述の売上データが示す通り、ZOOは1991年から1993年にかけて連続してトップ10ヒットを記録しています。それ以上に決定的なのは、「ストリートダンサーをアーティストとして成立させた日本初の商業的グループ」というカルチャー史における決定的な役割です。
彼ら以前の日本の音楽番組において、ダンサーはあくまで「歌手の後ろで踊るバックダンサー」に過ぎませんでした。ZOOはフロントにボーカル、両脇に同列の存在としてパフォーマーを配置する「ダンス&ボーカルグループ」というフォーマットを国内で初めて確立しました。この構造は後のTRF、DA PUMP、そしてEXILE TRIBEや三浦大知、さらには近年のボーイズグループ市場全体へと直結しています。一過性の流行ではなく、日本のポピュラー音楽の構造そのものを変革したパイオニアだったといえます。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
当時のZOOの音源や映像に今改めて触れるべきリスナーについて、音楽的観点から明確な基準を提示します。
- 今すぐ聴くべき人:
- 90年代のニュージャックスウィングや本格的なソウルサウンドを愛好するリスナー
- 現代の打ち込み・オートチューン主体のボーカルではなく、生々しいグルーヴと地声の太さを持つ女性ボーカルを求めている人
- ストリートダンスの原点や、ヒップホップ黎明期のファッション・カルチャーに興味があるクリエイター
- 過度な期待を避けるべき人:
- 現代のK-POP的なミリ単位で完全に統制されたシンクロダンスを好む人(ZOOの魅力は計算された統一感よりも、個々のダンサーの個性的なステップとストリート感にあります)
- 最新の重低音重視のEDMミックスを期待している人(当時の録音は80〜90年代初頭特有のアナログ感ある音像設計です)