豚肉がスタミナ食材の筆頭に君臨し続ける理由は、突出したビタミンB1の含有量にある。牛肉や鶏肉と比較してもその差は約5倍から10倍。栄養科学の視座において、このビタミンは炭水化物(糖質)を体内で効率よくエネルギー(ATP)へと変換するための不可欠な補酵素として機能する。
米やパン、麺類をどれだけ摂取しても、ビタミンB1が不足していれば糖はエネルギーに変わらず、乳酸をはじめとする疲労物質の蓄積へと直結する。厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」でも成人の必須摂取量が明記されているが、ストレス過多や過剰な炭水化物摂取にさらされる現代人は、想定以上にこの水溶性ビタミンを激しく浪費しているのが現実だ。燃料はあるのに点火プラグが点火しない——その不完全燃焼状態を解決する唯一無二の食材が豚肉なのである。