日本の音楽業界は長年、ジャンルと性別のステレオタイプによって強固に色分けされてきた。男性演歌歌手は男歌を歌い、女性アイドルは可憐さを売る。そうした前時代的なシステムの中で、トップランナーであった彼がジェンダーレスな姿勢を堂々と打ち出した意味は極めて大きい。
性別の枠組みにとらわれず、好きな服を着て、好きなメイクをし、好きな音楽を歌う。その姿勢は若い世代のアーティストにも多大な影響を与えている。多様性を言葉だけでなく、自らのキャリアと身体を張って証明したKIINA.の軌跡は、エンターテインメントの枠を越え、日本社会のジェンダー観そのものに一石を投じる文化的マイルストーンとなった。