本作が日本映画界のみならず、海外の映画祭で極めて高い評価を受けた事実は見逃せない。第53回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に出品された『幸福の鐘 (Blessing Bell)』は、目の肥えた現地の批評家や観客から熱狂的な支持を集め、見事にNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した。
セリフに頼らず、映像の構図と俳優の身体性、そして研ぎ澄まされた音響設計によって人間の本質を描き出す手法は、「純粋な映画的体験」として国際的な絶賛を浴びた。当時、世界が注目していた日本映画の新たな波を象徴する一本として、海外映画ファンの記憶に深く刻まれることとなったのだ。
当時、気鋭の映画製作を精力的にバックアップしていたバンダイビジュアルの存在も大きい。作家性を最優先にし、興行的な定石に囚われない野心的な映画作りを支えた同社のプロデュースワークが結実した傑作といえるだろう。