「からす なぜ啼くの からすは山に 可愛い七つの子があるからよ」――童謡『七つの子』の冒頭は、日本人なら誰もが耳にしたことのあるノスタルジックな旋律です。しかし、検索窓に「カラスの歌」と入力すると、関連検索には必ず「カラスの歌 怖い意味」「都市伝説」といったおどろおどろしいワードが並びます。
巷で語られる噂の多くは、次のような不気味な筋書きです。「なぜカラスが鳴くのかという問いに対し、山に子が残されていると答えるのは、口減らしのために山へ捨てられた(間引きされた)子どもの魂を供養しているからだ」「カラスは古来から死肉を漁る鳥であり、山にあるのは子どもの遺体である」といった、背筋が凍るような解釈がネット掲示板や怪談系動画でまことしやかに拡散されてきました。
さらに、同じくカラスを題材にした名曲『からすの赤ちゃん』(作詞・作曲:海沼実)の「からすの赤ちゃん なぜなくの こけももの実が 食べたいと」という歌詞に対しても、「食べ物がなくて泣く過酷な飢餓状態を比喩しているのではないか」といった牽強付会な憶測が後を絶ちません。しかし、児童文学の研究者や音楽史の専門資料を紐解くと、こうした猟奇的な「裏設定」は後世の人間が面白半分に後付けしたフィクションに過ぎないことが明白になります。