生理前に胸を触った際、コリコリとした「硬い塊(しこり)」に触れてパニックに陥る女性は少なくありません。ネット上には「しこり=乳がん」という短絡的な情報が溢れていますが、生理周期に連動して出現・変化するしこりの多くは、良性疾患である「乳腺症」や生理的な乳腺の硬結です。
乳腺症とは、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れることで乳腺組織が過剰に反応し、繊維化したり嚢胞(水風船のような袋)を作ったりする状態を指します。乳腺症のしこりには以下のような特徴があります。
- 生理前になると硬く大きくなり、触ると痛む
- 生理が終わると急速にしぼみ、柔らかくなるか消失する
- しこりの輪郭が周囲と馴染んでおり、触ると指の下で逃げるように動く
- 両側の胸、特に外側上部に多発しやすい
これに対し、悪性腫瘍(乳がん)によるしこりはホルモン周期にほとんど連動しません。「生理が終わっても硬さが変わらない」「痛みを伴わない硬い小石のような感触」「皮膚や筋肉に癒着して動かない」「片側の胸だけに単発で存在する」といった兆候が見られます。
自己触診(ブレスト・アウェアネス)を行う最適なタイミングは、生理が終わって乳腺が最も柔らかくなる「生理終了後4〜7日目」です。生理前のパンパンに張った状態で触っても、正常な乳腺組織の腫れをしこりと誤認して無用な不安を煽るだけです。もし生理が終わった後も明らかなしこりが残る場合や、乳頭から血性の分泌物が出る場合は、躊躇せず乳腺外科で超音波検査やマンモグラフィを受けてください。