『宇治拾遺物語』は、鎌倉時代初期(13世紀前半頃)に編纂された全197話からなる説話集です。貴族から庶民、僧侶まで多彩な人物の日常や滑稽話、仏教説話が収められており、その中でも「児のそら寝」は、人間味あふれる心理描写が光る屈指の人気作として親しまれています。
物語の舞台はあるお寺。主な登場人物は、寺に預けられて修行や勉強をしている幼い「児(稚児)」と、夜中に小腹を空かせた「僧たち」です。当時の寺院では、夕方以降の食事が厳しく制限されていたため、僧たちが夜更けにこっそり甘いぼた餅を作ろうと企む場面からドラマが動き出します。