そもそも、なぜ「ユーコン川160キロ〜地獄の6日間〜」に演出やヤラセの噂がささやかれるようになったのだろうか。その理由は、あまりにも美しく配置されたかのようなトラブルの連続にある。カヌー操作に苦戦するタレントたちの滑稽な姿、夜のキャンプ地で繰り広げられる過酷な食事風景、そして突如として襲いかかる自然の脅威。それらがあまりにもテンポよく画面上で展開するため、一般的なテレビ番組制作における緻密な台本の存在を想起させるのかもしれない。
だが、旅バラエティというジャンルにおいて、この番組が提示したスタイルは従来の常識を根底から覆すものだった。ロケの目的地や大まかな枠組みこそ設定されているものの、道中で起きる出来事は一切予測不可能。過酷な環境に放り出された演者たちの素のリアクションこそが、視聴者を惹きつけて止まない最大の魅力だったのだ。