なぜ人は舌が痺れるほどの刺激を求めるのか。その鍵を握るのが、唐辛子に含まれる代表的な辛味成分「カプサイシン」だ。舌の受容体が激痛を察知すると、脳は自己防衛としてエンドルフィンやドーパミンといった「脳内麻薬」と呼ばれるホルモンを分泌する。これが、痛みの後にやってくる独特の多幸感やストレス解消効果のカラクリである。
近年の最新研究では、この成分が持つ意外なメリットも次々と明らかにされている。体温上昇に伴う基礎代謝の向上や血行促進作用はもちろん、適量の摂取によって胃の粘膜保護を助ける酵素が活性化するケースも報告されている。過剰摂取は胃腸への負担となるため注意が必要だが、単なる刺激物と思われていた激辛食が、実は自律神経を整えるスイッチとして一役買っている事実は興味深い。