「当社」と「弊社」の最大の違いは、謙譲語と丁寧語の基準という文法上の立ち位置にあります。言葉の意味自体は同じ「自分の会社」ですが、話の聞き手や読み手に対して「自分をへりくだらせる必要があるかどうか」で使い分けが決まります。
「弊社」の「弊」には「粗末な」「劣った」という意味が含まれており、自分側を一段下げることで相手への敬意を示す謙譲語です。したがって、取引先や顧客など、敬意を払うべき相手が存在する社外とのやり取りで用いるのが鉄則となります。
対する「当社」は、自社を丁寧に言い表した丁寧語です。相手を下に見るわけでも、自分を卑下するわけでもないため、対等な関係での説明や社内報、事実を客観的に伝える場に適しています。「誰に対して発信している言葉なのか」という視座を持つことが、両者を混同しないための絶対的な境界線です。