二人の間に流れる情念の真相を探るうえで、最も決定的な手掛かりとなるのが宮崎駿監督自身の言動だ。スタジオジブリ内部の制作資料やコンテ集における監督のメモには、アシタカがサンに対して抱く感情が、決して抽象的な友愛や正義感だけにとどまらないことが克明に記されている。
作中、傷ついたアシタカをサンが干し肉を噛み砕いて口移しで与える緊迫した場面や、夜の森で静かに言葉を交わす場面において、宮崎監督は明確に「異性としての強烈な惹かれ合い」を意図して演出していた。監督は過去のインタビューにおいて、二人が単なる戦友を超えた「肉体的な成熟と互いへの執着」を持つに至ったプロセスに言及しており、観客が直感する官能的な匂いは意図的な演出であったことが裏付けられている。