面白いのは、この「成熟」を推進しているのが30代後半~50代のベテランだけではない点だ。弱冠20代前半の気鋭プロデューサーたちが、70年代のテープサチュレーションや80年代のアナログシンセ、生のストリングスカルテットを現代のミニマルなビートと融合させている。
過度な音圧競争(ラウドネスウォーズ)は完全に過去のものとなった。今の耳の肥えたリスナーが求めるのは、息づかいや部屋の空気感までが聴こえるダイナミックレンジの広さだ。あえて音数を削ぎ落とし、余白(サイレンス)の美学を追求したトラックメイキングこそが、現代における真のモダンであり高級感なのだという共通認識が生まれている。