消化器外科の手術において、本手術がこれほどまでに高難易度とされる理由は、切除の範囲と「再建」の複雑さにある。膵頭部に発生した膵臓癌や十二指腸乳頭部癌、胆管癌などの悪性腫瘍を取り除くため、膵頭部、十二指腸、胆管、胆嚢を包含するブロックを一括切除しなければならない。
さらに切除後には、消化液を小腸へ送るための3つの吻合(消化管再建)が必要となる。具体的には、膵臓と小腸、胆管と小腸、そして胃(または十二指腸の残存部)と小腸をそれぞれ精密に縫い合わせる。特に難所とされるのが、膵液を小腸に流す「膵管小腸吻合」だ。強力な消化酵素を含む膵液が縫合部から漏れ出す「膵液漏(すいえきろう)」は、周囲の血管を破綻させ重篤な出血を引き起こす最大のリスクとなる。
厚生労働省の各種医療動向調査や集計データにおいても、術後合併症の発症率は依然として無視できない数字として記録されている。だからこそ、周術期の厳重な管理と、トラブル発生時に迅速に対処できる医療体制が欠かせない。