テレビの普及と映画産業の斜陽化を受け、日活は1971年に成人映画レーベル「日活ロマンポルノ」を立ち上げます。厳しい製作予算と上映時間の制約の中で、若手監督や映画人たちが実験的な演出を試みたこの時代、スクリーンで輝きを放ったのは従来の枠に囚われない個性派女優たちでした。
その筆頭が宮下順子です。神代辰巳監督の『四畳半襖の裏張り』や実在の事件を題材にした『実録阿部定』において、情念と生々しい人間性を圧倒的な演技力で表現。キネマ旬報主演女優賞をはじめとする主要な映画賞を総なめにし、「ポルノ映画から本格的な演技派大女優が誕生した」と批評家筋を唸らせました。
1980年代初頭には、美保純が『ピンクのカーテン』でヒロイン・野里子を演じ、コミカルかつ哀愁を帯びた現代的な少女像を鮮烈に提示しました。彼女の自然体な魅力は同世代の若者から絶大な共感を呼び、ロマンポルノの枠を飛び越えて一般のテレビドラマやバラエティ番組、松竹映画『男はつらいよ』シリーズのレギュラーへと大抜擢される原動力となったのです。